江戸川病院

社会福祉法人 仁生社

江戸川病院

診療科・部門|泌尿器科

2024-03-27更新

病気の説明・症状

骨やリンパ腺などへの転移が無く、周辺臓器にも浸潤していない限局性の前立腺癌は、根治療法が可能です。 採血で腫瘍マーカーPSAを検査することで早期発見できます。その他の検査としては直腸指診、超音波検査、MRI検査を行います。 精査の結果、前立腺癌が疑われる場合は前立腺生検を行います。

当院では従来の超音波下前立腺生検に加え、より精度の高い生検であるMRI画像と超音波画像を融合して行うMRIfusion生検を主に行っています。 限局性前立腺癌の治療としては、症例によってマイクロ波凝固治療、ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術、放射線治療、ホルモン治療、監視療法を行います。

検査方法

腫瘍マーカーPSA検査
直腸指診・超音波検査・MRI検査
MRI超音波フュージョン前立腺生検

MRI超音波フュージョン前立腺生検

前立腺癌の確定診断も、病変部の一部を採取し、顕微鏡の検査で癌細胞を確認します。従来の前立腺針生検は、MRI画像を頭にイメージしながら超音波画像(エコー)を見ながら6~16カ所穿刺する方法でした。確率は悪いですが、それでもエコーで病変が確認できれば、癌の診断はすることはできます。

ただ前立腺癌の描出は、エコーよりもMRIの方が圧倒的に優れているため、「MRIでは病変が見えていてもエコーではわからない」ことが多々あります。むしろ最近ではMRI撮像の精度が上がっており、より小さく微小な変化をとらえることができるため、エコーで見えないことが多い状況です。

その場合、勘に頼らざるを得ないため診断精度が得られません。ある程度の大きさのある前立腺癌であれば診断可能ですが、0.5~2cmの病変を正確に採取することはかなり難しくなります。

特に前立腺肥大症を伴う大きな前立腺の場合(前立腺肥大症があると前立腺癌になりやすいわけでは決してありません)、従来法では病変部を正確に採取することがより難しくなります。当科で行っているMRIとエコーを癒合した画像を用いた生検(フュージョン生検)では、かなりの精度で病変を採取することができます。

まずMRI画像を生検装置に取り込み、実際にみえるエコー画像と癒合させ、MRIで確認した病変(ターゲット)をエコー画面上に映し出します。そしてバーチャル生検を行います。これは実際に針を穿刺する前に「この角度でこの深さに針を刺したらここに到達する」ことがシュミレーションできます。シュミレーションを行うことで確実にターゲットに到達できるよう角度・深さを調整してから針を刺入します。

前立腺針生検には、経直腸的生検(直腸から針を入れる)と経会陰的生検(陰嚢と肛門の間の皮膚から針を入れる)があります。どちらも良い点、悪い点があり、当院ではどちらも施行可能ですので前立腺内のあらゆる部位の病変に対して適切な方法でアプローチできます。

当院使用のKOELIS TRINITY

今まで述べてきましたように、この方法ではMRI画像の精度が非常に重要です。当院では撮影方法に工夫を加え、以前に比べ格段に鮮明で詳細な画像が得られるようになりました。さらに我々の読影力(病変を見つける能力)も徐々に向上しており、治療が必要な重要な癌を見逃さないよう留意しています。

「前立腺癌は進行が遅いので、そこまでして小さな癌を見つける必要はないのでは?」と思われる方もいるかもしれません。確かに前立腺癌の中には、進行の遅くただちには治療が不要な癌も存在します。したがって、癌が見つかってもすぐに治療を行わないこともあります。この判断はやはり泌尿器科専門医が行うべきで、その中に一部急速に進行するタイプがあり、気を見るに敏で治療に踏み切ることが必要です。いずれにしても、まず正確に診断することができないと何も始まらないわけです。疑いはあるもののはっきりしないため、何回も針生検を受ける方もいらっしゃいます。

前立腺腫瘍マーカーPSA値の上昇やMRIで前立腺癌の異常を指摘されたり、また単純に前立腺癌が心配な方は、正確な診断が第一に重要と考えます。ぜひ当院を受診いただき、より精度の高い検査を受けることをお勧めいたします。

治療方法

PSA監視療法

初期の前立腺癌を過剰に治療することを防ぐために行われます。監視療法を安全に行うために、適応となる基準が決められています。監視療法の開始後も定期的に検査を行い、仮に癌の進行があれば、手術や放射線治療の開始を検討します。

PSA 10ng/mL以下
ステージ T2以下
陽性コア数 2本以下
グリーンスコア6-7の一部
検査の頻度 3~6か月後
ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術
当院では、日本で初めての前立腺癌手術を確立させた東京医科大学の術式を採用し、2013年より導入しました。現在までに約500人の方に手術を受けていただいています。ほぼ全員の患者様が合併症もなく周術期を過ごされています。失禁に関しては術後半年後には、ほぼ90%以上の患者様が尿取りパッドなしか、安心用の1日1枚程度まで改善しています。
2019年より、最新機種 daVinciXiにバージョンアップしています。

フォーカルセラピー

限局性前立腺癌に対するマイクロ波凝固治療を2020年8月より導入しました。本治療は、マイクロ波を用いて前立腺癌組織に直接熱を加え、凝固壊死を起こす治療方法です。従来の前立腺全体に対する治療とは異なり、前立腺癌病変部分のみを治療します。

したがって、治療に伴う有害事象や排尿、性機能障害を減らすことが可能となりました。欧米では数年前から行われている治療ですが、国内では現在のところ(2020年12月)京都府立医科大学付属病院と当院でのみ行っています。2019年に厚生労働省の定める先進医療として申請されており、今後、前立腺癌の新たな治療法として発展が期待されています。 当院では、自由診療にて行っています。

病気の説明・症状

前立腺癌はリンパ節と骨(特に脊柱と骨盤骨)に転移しやすく、肺や肝臓などの多臓器に転移する場合もあります。骨に転移すると痛みや麻痺が生じることがあります。転移性前立腺癌に対してはホルモン療法が第一選択となります。

治療方法

ホルモン療法

前立腺癌は男性ホルモンであるアンドロゲンの影響を受け増殖するため、アンドロゲンの分泌や働きをブロックして、がんの増殖を抑えようというのが、ホルモン療法です。ホルモン療法は脳の下垂体に働きかける薬剤を注射することで、精巣からアンドロゲンが分泌するのを抑える方法と、抗アンドロゲン剤を内服して、アンドロゲンが前立腺の細胞に働きかけるのを防ぐ方法の2つあり、この両者を併用するCAB療法と呼ばれる方法が多く行われています。

病気の説明・症状

ホルモン療法の効果を認めなくなった前立腺がんは去勢(内分泌療法)抵抗性前立腺癌(castration-resistant prostate cancer: CRPC)と呼ばれる状態になります。通常はさらにアンドロゲンを強力に抑える新規ホルモン剤であるイクスタンジ(エンザルタミド)やアーリーダ(アパルタミド)やザイティガ(アビラテロン)を使用します。

しかしそれらの薬剤で効果を認めなくなった場合には抗がん剤の適応となります。現在ドセタキセル、カバジタキセルという2つの抗がん剤を使用しています。 また骨転移に対して放射線照射の併用や、骨転移があって内臓転移がない場合にはゾーフィゴ(塩化ラジウム-223)を使用する場合もあります。

ゾーフィゴにはアルファ線と呼ばれる放射線を出す「ラジウム-223」という放射性物質が含まれ、骨の代謝が活発になっているがんの骨転移巣に集まり、そこから放出されるアルファ線が骨転移のがん細胞の増殖を抑えます。さらに最近では転移性前立腺癌に対して、去勢抵抗性前立腺癌となる前に新規ホルモン剤や抗がん剤治療を行う場合もあります。

病気の説明・症状

近年はCTや超音波検査で早期発見されることが多くなっています。早期では無症状なことが多く、進行すると肉眼的血尿や腹部腫瘤、背部痛が出現することがあります。治療としては手術と薬物療法があります。

当院では手術は腹腔鏡手術、開腹手術による腎摘出術、小さい癌であれば腎部分切除術があります。薬物治療は進行性腎癌、転移性腎癌で使用し、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬があります。早期では無症状のことが多く、進行すると肉眼的血尿や腹部腫瘤、背部痛が出現することがあります。

検査方法

CT・超音波検査

治療方法

腹腔鏡手術、開腹手術による腎摘出術・腎部分切除術(小さい癌の場合)

薬物療法(進行性腎癌・転移性腎癌)

分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬

腹腔鏡手術

従来の大きく腹部を切開する開腹手術に替わり、患者様への負担が少ない低侵襲手術として広く普及しています。腹腔鏡手術では、皮膚を小さく切って小穴を開けて、内視鏡や手術用の道具をお腹の中に入れて手術を行います。創が小さく痛みが軽く手術後の回復が早いなど、体に対する負担が軽いというだけでなく、内視鏡により、繊細な手術が可能であるなどメリットが大きい方法です。当科ではハイクオリティな3D観察が可能な最新鋭の腹腔鏡手術システムを導入しています。現在、腎癌や腎盂尿管癌に対する手術を中心に行っています。

病気の説明・症状

血尿や頻尿、排尿時痛といった症状があります。検査は尿検査、超音波検査、膀胱鏡検査、CT、尿細胞診を行います。表在性膀胱癌の場合は経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)を行います。浸潤性膀胱癌の場合はTUR-BTでは根治切除はできませんので膀胱全摘術を行います。その他の治療法としては放射線治療、薬物治療があります。薬物治療には従来の抗がん剤治療の他に免疫チェックポイント阻害薬があります。

検査方法

尿検査・超音波検査・膀胱鏡検査・CT・尿細胞診

治療方法

表在膀胱癌における経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)

切除用の膀胱鏡を尿道の出口から膀胱内に挿入し、モニターでがんの場所を確認しながら高周波電気メスで病変を切除する方法です。

当院では、光線力学的内視鏡診断(PDD)を行い従来の方法では診断が困難であった小さながんや平坦ながんを診断することが可能となりました。これにより残存腫瘍を減少させ、再発率を低下させることができると考えられています。

光線力学的内視鏡診断(photodynamic diagnosia : PDD)

手術前に光感受性物質である5-アミノレブリン酸(5-aminolevulinic acid: 5-ALA)を内服します。

5-アミノレブリン酸は、体内の正常な細胞ではヘム(血液の原料)に代謝されますが、がん細胞ではヘムまで代謝されずにその中間産物(protoporphyrinIX:PPIX)が蓄積します。このPPIXに青色の光を当てると赤色に蛍光発色するという特徴から、がん細胞と正常細胞の区分が容易となるため、術中の膀胱がんの検出率が向上し術後の膀胱内再発率が減少することが報告されています。

病気の説明・症状

膀胱炎、前立腺炎、腎盂腎炎、性感染症は尿検査、血液検査、画像検査によって診断し、抗生剤の投与を行います。内服の抗生剤で治療可能な場合は外来通院、連日の点滴による治療が必要な場合には入院にて治療を行います。

病気の説明・症状

腎臓で生成された尿は、腎盂・尿管・膀胱・尿道を通り排出されます。この尿路にできた結石を尿路結石といいます。結石が小さい場合は、尿路を通って自然排石される場合があります。自然排石が期待できる場合は外来通院での経過観察を行います。

4週間以上自然排石がされなかった場合は、結石を破砕する治療が必要となります。通常、尿路結石は、急激な背部痛や側腹部痛を起こします。吐き気や嘔吐を訴える方もいます。腎臓結石は無症状の場合も多く、血尿等で発見されることがあります。無症状の結石を放置すると水腎症による腎機能低下や細菌感染、排尿困難などの合併症を引き起こすこともあります。

検査方法

レントゲン検査・CT検査・超音波検査

治療方法

疼痛に対しての治療は救急外来にて24時間行えます。結石の場所、サイズによって自然排石が期待できる場合は外来通院での経過観察を行います。4週間以上自然排石されない場合は積極的治療により結石を破砕します。当院では体外衝撃波結石破砕術(ESWL)、経尿道的結石破砕術(TUL)、経皮的腎砕石術(PNL)を行なっております。上記の三つは患者様ご本人と相談の上、結石の場所、大きさによって決められます。

尿管結石によって感染、腎機能障害、強い疼痛がある場合には入院にてDJ尿管ステントを留置する治療を行います。

体外衝撃波結石破砕術 ESWL

経尿道的尿管破砕術 TUL

体外で発生させた衝撃波を尿管結石または腎結石にあて、体に傷をつけることなく結石を粉々に砕く治療法です。

当院では、EDAP TMS社の体外衝撃波結石破砕装置を導入しています。特徴としては、最大144MPaの破砕力を持ちながら、小さい焦点領域での治療が可能なため他臓器への影響を抑え、低侵襲で安全な治療法です。

経皮的腎砕石術 PNL

尿道から内視鏡を膀胱内に入れて、さらに尿管内にまで内視鏡を進めて、尿管の中にはまり込んだ結石あるいは腎臓の中の結石を破砕する手術です。

当院では、治療分野における最先端のスペックを備えているQuanta Lithoレーザーを採用しています。優れた破砕効果と硬組織に対するアブレーション(蒸散)に適しているショートパルスモードと、軟組織の切開に高い効果を示し、周辺組織に対するダメージを最小限に抑えながら優れた止血、コアギュレーション(凝固) が得られるロングパルスモードを使いわけ、安全に早期結石粉砕が可能です。

サンゴ状結石のような結石のサイズが大きく、自然排出が困難であり、TULでも除去が困難なことが予測される場合に行います。背中から超音波で観察しながら腎臓内まで針を刺し、針穴を広げ筒を挿入します(腎瘻造設)。内視鏡をその筒から腎臓内に入れ、腎臓や尿管の結石をレーザーで砕き、体外へ除去します。

過活動膀胱とは?

過活動膀胱では、尿意切迫感が強く、多くは頻尿と夜間頻尿を伴います。切迫性尿失禁もある場合、生活の質(QOL)が損なわれることも、決して少なくありません。

過活動膀胱の治療方法

過活動膀胱の治療には、行動療法、薬物療法、磁気刺激療法、ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法、仙骨神経刺激療法があります。まず、行動療法や薬物療法から治療を開始し、3ヶ月ほど継続しても症状が改善がない、または、副作用が出てしまい治療継続が難しい病態を、難治性過活動膀胱といいます。ここでは、この難治性過活動膀胱のための、ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法(ボトックス療法)について説明します。

⌘ボトックス療法について

異常な収縮を来す膀胱の筋肉を、柔らかく楽にしてあげる作用があります。

膀胱内検査の時に使う膀胱鏡を用いて、膀胱の筋肉に薬液を注射します。

⌘ボトックス療法の適応となる患者さま

現在の治療で効果を十分に感じられない患者さまや、お薬による副作用が気になる患者さま(難治性過活動膀胱)が対象です。

例として、

・3ヶ月以上、内服薬で治療しても尿失禁が改善されない。

・2週間以上、内服薬で治療しても副作用のためお薬を減量あるいは中止した。

こういった方は、ボトックス治療で改善する可能性があります。

また、1日7回以上の頻尿や、1日3回以上トイレに間に合わず失禁がある場合は、一度、検査を行うことをお勧めいたします。検査を行なって、残尿量が100ml以下であればボトックスで治療ができます。

80歳以上の患者さまの場合は、ボトックス注射後の尿閉リスク(おしっこがしたくても出なくなる状況)を予測する為に、注射の前に、まずはウロダイナミックス検査を行うことをお勧めしております。

サーミバー(サーミVa)

〇こんな症状でお困りの方

・尿漏れ

・尿意が近い

・膣のゆるみ

・入浴時に膣の中にお湯が入る

・膣のにおいが気になる

・膣の乾燥

など

〇サーミバー(自費診療)

サーミバーはFDAで認可を受けている「サーミRF」の高周波を用いて、女性器の膣内から外側を引き締める女性器のアンチエイジング治療です。見た目には、照射直後から外陰部の引き締め効果が実感できます。

機能面では膣入口や膣の内部を引き締めることができます。膣の内部が引き締まるので、尿漏れや入浴時に膣の中にお湯が入らなくなります。膣内のコラーゲンが活性化することで膣内環境の正常化にもつながり、デリケートゾーンの様々な悩みを解消することができます。