BNCT特定臨床研究報告

BNCT特定臨床研究報告

研究代表者

黒崎 弘正 (くろさき ひろまさ)

放射線治療科部長
日本専門医機構認定放射線専門医
日本放射線腫瘍学会放射線治療専門医
日本核医学会専門医
医学博士
 

BNCT特定臨床研究フェイズ2経過報告①

このたび特定臨床研究:FDG-PET陽性の浅在性腫瘍に対するBNCT(jRCTs031240204)の治療(2024年8月から開始10例)経過につき報告します。
特定臨床研究:FDG-PET陽性の浅在性腫瘍に対するBNCT(jRCTs031240204)の治療4例目
乳がんの再発例で、BNCT前37mm大が3か月後きれいになっています。本例では腫瘍マーカー(CA15-3)はもともと基準値内(25以下)だったのですが、20.9>10.7まで低下しています。

特定臨床研究:FDG-PET陽性の浅在性腫瘍に対するBNCT(jRCTs031240204)の治療10例目 初発右乳がん、未手術


PET画像 照射前

照射後 4か月後 SUV51に低下

PET 画像 照射前

照射後 4か月

1か月で腫瘍は消失、触診上も触れなくなり、2,3,4か月目の画像診断でも腫瘍は消失(効果判定CR)

ただし、副作用として右後頭部を中心に脱毛+


照射後 1か月

照射後 2か月

照射後 3カ月

照射後 4カ月

照射後3カ月目で毛髪が生え始め、4カ月目で脱毛は確認できない

BNCT特定臨床研究フェイズ2終了報告

このたび特定臨床研究:FDG-PET陽性の浅在性腫瘍に対するBNCT(jRCTs031240204)の治療が終わりましたことをご報告申し上げます。
一般にBNCTではFBPA-PETで取り込まれる腫瘍に対して効果的ではないかとされております。その一方でFBPAーPETは必ずしも臨床の現場では普及しておらず、江戸川病院でも検査が施行できません。そこで、臨床的によく使われているFDG-PETで取り込む腫瘍に対してBNCTの効果をみたものです。また本研究では2023年夏から行われた再発乳がんに対するBNCT(jRCTs031220371)の結果を踏まえて、研究計画がされました。
2024年8月から開始された本研究は10例で、すでに患者登録、BNCT治療、必要な経過観察が終了しております。10例中9例が女性、また7例が乳がんでやや偏った疾患となってしまったのは研究としての反省も0ではありませんが、特定臨床研究フェイズ1の再発乳がんの研究ではいなかった腫瘍消失例を経験しており、今後詳しい解析作業を行わせていただきます。

BNCT特定臨床研究フェイズ1終了報告

2023年7月に始まった特定臨床研究「放射線治療後再発乳がんを対象としたホウ素中性子捕捉療法(BNCT)のパイロット試験」(jRCTs031220371)は終了2025年10月で計画されていましたが、皆様のご協力を得て、2024年春には予定された症例数を行うことができました。本研究に関与していただいたすべての方にまずは感謝申し上げます。
この研究は、乳がんに対するBNCTの安全性と有効性を検討するものでしたが、この安全性・有効性とも証明できたと考えております。特に胸部へのBNCTは原子炉を用いたBNCTでもほとんど報告が無く、本研究のあとに国立がん研究センター中央病院での胸部への研究や当院でのFDG陽性腫瘍の特定臨床研究が開始され、まさしく本研究はエポックメイキングなものとなったと考えております。
今後とも江戸川病院BNCTを応援していただければ幸いです。

BNCT特定臨床研究フェイズ2開始

2024-07-22更新
2023年7月から始まりました江戸川病院BNCTの再発乳がんに対しての特定臨床研究も5例順調に登録・治療が行われました。その一部の結果についてはすでに論文にされております。
次のフェイズとして、BNCTのさらなる臨床拡大を考えて「FDG-PET 陽性の浅在性腫瘍に対する特定臨床研究」を行うこととしました。
学問上の話となりますが、一般にBNCTではFBPA-PET検査で集積が多い腫瘍に効果があると報告がされています。その一方で取り込みが無くても効果が出る例があることが報告されています。また同検査は保険診療には収載されておらず、一般診療には使われておりません。
一方、FDG-PET検査は広く臨床に使われており、FBPAとFDGの集積は相関があったという報告もあります。また我々のフェイズ1の特定臨床研究でもFDGが取り込まれた例で集積があった腫瘍に効果があった例を経験しております。

これらを踏まえてFDG陽性の腫瘍に対するBNCTの効果をみる特定臨床研究を開始(10例)させていただきます。

主な条件として
①18~85歳=小児は対象外
②皮膚表面から6cm以内で、FDGの取り込みがあること、かつCTもしくはMRIで評価が可能なこと=癌腫は問いていません
③照射歴がある場合その部位に対して75Gy以下であること=未照射でも対象
④転移がある場合はPPI3点以下であること=治療部位以外に転移があっても提唱ですが、昼間に半分以上横になっている方は対象外となります

また、細かい条件がありますので、それについては問い合わせください。

放射線治療後再発乳がんを対象としたBNCTパイロット試験の経過報告

2024-04-22更新
江戸川病院では放射線治療後再発乳がんを対象とした
医師主導の特定臨床研究を本年7月5日より開始いたしました。

経過報告
5例目のBNCT1か月後の診察が行われました。この患者さんも3例目の患者さんと同じように皮膚に多発性の再発を来した症例です。患者さんも多くの腫瘤で小さくと小さくなっているのを自覚されていました。
(写真の光具合などが異なり、照射した翌日の写真が左、1か月後が右となりますが、写真でも小さくなっているのがわかるかと思います)

また4月12日には第83回日本医学放射線学会のランチョンセミナーで研究責任医の黒﨑が講演させていただきました。立ち見がでるほどの盛況で、BNCTに対する期待が大きいことが改めて感じさせられました。 現在、次の特定臨床研究に向けて準備中です。できるだけ早く皆様にBNCTを提供できるように努力しております。

2024/04/02更新
このたび、Cureus誌(IF1,2)にKurosaki H.et al. “The Effects of Boron Neutron Capture Therapy on the Lungs in Recurrent Breast Cancer Treatment”(再発乳がんに対するBNCTの肺に対する影響)として掲載されましたのでご報告いたします。
今までの乳がん治療の論文での報告は原子炉で行っていた時代を含めて我々が調べた限りでは無く、世界初の報告となります。
論文では先の3例について主に肺への変化を報告したものですが、いずれも観察期間中に放射線肺臓炎の発生は認められませんでした。また、いずれの例でもBNCTによる効果も認められたことを付記してあります。ぜひご一読のほどお願いいたします。

2024/03/07更新
3月13日に特定臨床研究予定の5例目を施行することとなりました。これにて特定臨床研究のすべての症例が治療されることとなります。本研究では2025年秋までの期間で5例の予定でしたので、かなり予定より早く終了することになりそうでして、相談にいらっしゃった方を含めてすべての患者さんに感謝申し上げます。

上記の写真は2例目の半年後のPETーCTです。CTでは残存しているようにみえますが、PETの集積はなく、照射部位は死骸と考えております。 また、皮膚に播種していた3例目ですが、下に5月後のPET-CTを示します。このように腫瘍の取り込みだけでなく、皮膚への播種病変への取り込みも無くなって、普通の放射線治療や粒子線治療(重粒子線や陽子線)と違ってBNCTでは播種に強い、というのが示されたかと考えております。(なお、PET画像はともに患者さんからのご厚意で掲載させていただいております)

今後ですが、まずは5例目の照射を行い、経過観察をさせていただきます。そのうえで、現在さらに多くの皆様にBNCT治療を提供できるように病院長以下全員で考えているところです。

2023/12/19更新
現在までに4例のBNCTを行わせていただきました。前に報告させていただいたように1例目および2例目についてはすでに90日間の経過観察期間を終了しております。 10月に行われた4例目の60日後の診察が行われました。この4例目はかなり大きめの腫瘍かつ肺転移などがある患者さんです。1か月後のCTではあまり変化はなかったのですが、2か月後では内部に空洞ができ、かなり腫瘍は小さくなっておりました。また胸水の増加などが認められますが、全身状態に大きな変化はありませんでした。

本研究では5例と決まっているため、あと1例となっております。現在2例検討している状態ですが、もしもご紹介していただけます先生方におかれては早めに研究責任医師の黒﨑まで相談していただければ幸いです。また患者さんからも同様に早めにこちらに相談していただければ幸いです。

2023/11/30更新
現在までに4例のBNCTを行わせていただきました。前に報告させていただいたように1例目および2例目についてはすでに90日間の経過観察期間を終了しております。 9月に行われた3例目の60日後の診察が行われました。本例はCTなどでみえるより、広い範囲でPETの集積が認められた患者さんです。MRI拡散強調画像では異常信号がなくなりました。またCTでは本人からも「触ってデコボコ感がなくなりました」と言葉をいただいております。

本研究では本人の自覚症状や拡散強調画像では効果判定は行わないため、また今後のMRIやCTで違う結果になる可能性があります。また現在のところいずれの患者さんでもGrade2までの副作用ですが、今後の過程では発生する可能性はあります。 本研究では5例と決まっているため、あと1例となっております。もしもご紹介していただけます先生方におかれましては早めに研究責任医師の黒﨑まで相談していただければ幸いです。また患者さんからも同様に早めにこちらに相談していただければ幸いです。

2023/11/17更新
現在までに4例のBNCTを行わせていただきました。1例目および2例目についてはすでに90日間の経過観察期間を終了しております。 4例目は今までの症例とは異なり、かなり大きめの腫瘍に対してBNCTを施行させていただきました。かつ、本研究では転移がある方を転移があるからという理由だけで除外は行わないこととなっており、かなり広範な転移がある方です。1か月後のCTではあまり変化はありませんが、本人の自覚としてはかなり小さくなっており、右乳房と腫瘤の間に指が入るようになった、体調も良いと喜んでおりました。

なお、本研究では本人の自覚や視触診による効果判定は行わないため、また今後のMRIやCTで違う結果になる可能性があります。4例目ではGrade1の副作用、またほかの3例についてもGrade2までの副作用ですが、今後の経過では発生する可能性はあります。 本研究では5例と決まっているため、あと1例となっております。もしもご紹介していただけます先生方におかれましては早めに研究責任医師の黒﨑まで相談していただければ幸いです。 また患者さんからも同様に早めにこちらに相談していただければ幸いです。

2023/10/26更新
現在までに4例のBNCTを行わせていただきました。1例目はすでに90日間の経過観察期間を終了しております。 2例目では腫瘍マーカーは治療前13が1か月後には11に低下と先に報告させていただいたのですが、2か月後には4と基準値以内になりました。またGrade2以上の副作用は認めておりません。 9月に行われた3例目はもともとCTなどでみえるより、広い範囲のPETの集積が認められた腫瘤より大きめに広がっている(播種している)患者さんです。

BNCT1か月後のMRIを示します。MRIでは縮小し、拡散強調画像でも効果が得られています。

本研究では腫瘍マーカーや拡散強調画像では効果判定を行わないため、また今後のMRIやCTで違う結果になる可能性があります。また現在のところいずれの患者さんでもGrade2までの副作用ですが、今後の過程では発生する可能性はあります。 本研究では5例と決まっているため、あと1例となっております。もしもご紹介していただます先生方におかれては早めに研究責任医師の黒﨑まで相談していただければ幸いです。また患者さんからも同様に早めにこちらに相談していただければ幸いです。

2023/09/14更新
下記は8月上旬に行われた2例目では腫瘍マーカー(CEA)が治療前13に対し1か月後には11に低下しておりました。またGrade1以上の副作用は認めておりません。 2個あった病変の小さいほうのCTでの変化を示します。淡く、縮小しております。(なお、本研究では腫瘍マーカーなどの採血データでは効果判定は行わないため、また今後のMRIやCTで違う結果になることがあります。また、Grade2以上の副作用の発生は認められておりませんが、今後の過程では発生する可能性はあります。)

現在、ほかに2例で相談・検討中で、1例では今月末の施行に向けて仮計算を行うこととなりました。本研究では5例と決まっているため、もしもご紹介していただけます先生方におかれましては早めに研究責任者の黒﨑まで相談していただければ幸いです。 また患者さんからも同様に早めにこちらに相談していただければ幸いです。

2023/08/29更新 現在のところ、3名から特定臨床研究の同意を得させていただきました。
7月上旬および8月上旬に1例ずつ、合計2例の治療をさせていただきました。
7月上旬例については、照射から1か月経ちMRIにて拡散強調画像では効果が得られており、腫瘍サイズも縮小が得られております。

(なお、本研究では拡散強調画像では効果判定は行わないため、また今後のMRIやCTで違う結果になる可能性があります。またGrade3以上の副作用の発生は認められておりませんが、今後の経過では発生する可能性はあります。)
また、8月上旬の1例においても当初の5日間ではGrade2以上の副作用の発生は認められておりません。

その一方で、同意を得た1例においては、照射時間のオーバーが見込まれたため(ホウ素製剤のステボロニンが点滴開始後3時間以内にBNCTが治療を終了する必要性があります)、結果として治療は行わないことになりました。このように希望されても全員が治療を行えるものではないことをお伝えしておきます。 現在、ほかに2例で相談・検討中です。本研究では5例と決まっているため、もしもご紹介していただけます先生方におかれましては早めに研究責任医師の黒﨑まで相談していただければ幸いです。 また患者さんからも同様に早めにこちらに相談していただければ幸いです。

概要

BNCTの研究名
・放射線治療後再発乳がんを対象としたホウ素中性子捕捉療法(BNCT)のパイロット試験
開始予定日
・2023年7月5日より第1号の試験開始
対象
乳がん放射線治療後の局所再発

以下の方は適応となる可能性がありますので、希望される方は放射線科外来を予約受診・ご相談いただければと思います。
・18 歳以上 85 歳未満
・以前の放射線治療が75Gy を超えていない。
・遠隔転移がない。ただし局所再発巣を治療することで予後延長が期待できる場合や、全身状態などが著しく改善すると認められる方は遠隔転移があっても適応となることがあります。

ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の詳細についてはこちらをご覧ください。

お問い合わせ先

江戸川病院 BNCTセンター担当

受付時間 月~金曜日 9:00~17:00

03-3673-1221(代表)

住所:〒133-0052 東京都江戸川区東小岩2丁目24-18

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