乳がん治療

乳がん治療(自由診療)

BREAST CANCER

BNCTによる“切らない″乳がん治療

江戸川病院はBNCTによる乳がん治療を開始しました。 乳がんの標準治療は、がんの進行度や病理学的グレード分類、サブタイプ分類に応じて、手術・化学療法・放射線治療が確立されています。しかし、標準治療に当てはまらない方、または標準治療を希望されない方もいらっしゃいます。  切らない乳がん治療があるとしたら  自分らしい治療選択ができるとしたら  まだ、治療方法が残っているとしたら  誰もがその可能性を知りたいと思うはずです。

ではなぜ、多くの癌の中から、乳がんにスポットが当たったのか4つの理由をご説明します。

理由1.照射口の位置

当院のBNCTは、株式会社CICSが開発した加速器型BNCT装置で、国立がん研究センター中央病院に導入されているものと同型機です。
高周波四重極(RFQ)直線加速器を採用し、陽子を加速してリチウムターゲットに衝突させることで中性子を生成する仕組みをとっています。
人体への悪影響が大きい高速中性子の混在を減らした設計で、患者様への安全性への配慮はもちろんのこと、照射口が上部に設置されていることで、乳房に近接して照射できるのが特徴です。

理由2.乳がんはホウ素薬剤(BPA)が集積しやすい

乳がんにおけるLAT1
遺伝子名:SLC7A5 タンパク質複合体:LAT1/CD98(4F2hc)の特徴

がん細胞は急速に増殖するため、多量のアミノ酸を必要とします。LAT1はがんの「栄養補給ルート」として機能し、がんの生存・成長を助けます。
多くの研究で、乳がん組織は正常乳腺組織に比べてLAT1の発現が有意に高いことが報告されており、特にトリプルネガティブ乳がん(TNBC)やHER2陽性乳がんで高発現します。ホルモン受容体陽性(ER+,PR+)の乳がんでも一部で上昇が見られます。
表1のように、多くの乳がん(特に悪性度が高いタイプ)でLAT1の過剰発現が確認されています。BNCTで使うホウ素薬剤はBPA(Borono-phenylalanine)であり、BPAはフェニルアラニン類似構造を持つため、LAT1を介して細胞内に取り込まれ、LAT1の発現が高い細胞ほど、BPAの取り込み量も高くなる傾向がBNCT治療に適しているのです。
 

理由3.乳がんのステージにおける治療制限が少ない

「局所再発」・「胸壁再発」・「従来の放射線治療」を受けた部位の再発にも照射が可能です。

理由4.アピアランスへの影響が少ない

命に係わることとは言え、アピアランスの変化は精神的なショックを伴います。
BNCTの照射は痛みもなく、麻酔も不要です。外科的手術とは違い傷痕なく、外見上は治療前と変わりありません。
リンパ節郭清後の浮腫や化学療法後の嘔吐や倦怠感・全身脱毛などの副作用による行動制限が軽減されます。

BNCT乳がん治療まとめ

高い細胞致死能力:BNCTのα粒子は、通常の放射線(X線)の約70–90 Gy相当に匹敵する殺細胞効果を発揮します 。

「予防照射」の効果:手術と異なり、腫瘍周辺(10–30mm域)にも20–25 Gy-Eqの線量を届けるため、再発抑制に寄与します 。

優れた安全性:ホウ素は腫瘍に選択的に取り込まれるため(L-LAT1経由)、正常組織への影響を抑えられます 。

肺への影響:肺の平均線量を5 Gy-Eq以下に抑えることで、重篤な肺障害や放射線肺臓炎の発現はないことが特定臨床研究で確認されています 。

最後に乳がんのサブタイプ別にBNCT治療の感受性について表にまとめました。
個人差もありますので、参考にしていただき、詳しくは担当医師にご相談下さい。

サブタイプ 特徴
(ER/HER2/Ki-67)
BNCT感受性 腫瘍消失の目安(完全消失) 治療のポイント
Triple Negative ER-, PgR-, HER2- 高い(高LETと好相性) 2~4か月(最短) 周辺再発域(3cm)への予防的照射が可能
HER2型 ER-, HER2+ 中~高 3~5か月 抗HER2療法併用が前提。α粒子との相性良好
Luminal B ER+, Ki-67高 中~高 4~7か月 内分泌療法(+抗HER2)で再発リスクを補正
Luminal A ER+, HER2-, Ki-67低 6~12か月 基本的に低リスクの為、標準治療を推奨

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自由診療について

●流れ、期間 治療の約2週間前:事前のチェック(診察、検査、CT撮影)
治療の約1週間前:治療計画(CTから中性子線の投与線量、照射位置を計算)
治療 :基本的には2泊3日の入院
 1日目 入院、治療当日のリハーサル
 2日目 ホウ素製剤を点滴投与(約2時間)
 BNCT装置で中性子線を照射(治療時間は約1時間)
 3日目 治療後の診察、退院
 照射の約1ヶ月後:定期的な経過観察(MRIや超音波検査など)

●治療回数
1回の照射(2泊3日)で完了

●費用(自由診療・日本居住者)*保険適用外
通常税込440万円程(見込み金額となり、場合によって異なる)

●医学的見地に基づきBNCT治療により予測される副作用・リスク 重大な副作用として粘膜の炎症等を伴う嚥下障害、放射線皮膚損傷等の重度の皮膚障害、結晶尿による血尿などが現れる可能性があります。再発乳がんを対象に行った特定臨床研究P1、DG-PET陽性の浅在性腫瘍を対象に特定臨床研究P2においてみられた腫瘍縮小に伴う皮膚潰瘍、一時的な脱毛も副作用として予測されます。 その他にも以下の副作用や、予想外の副作用があらわれることがあります。

一般的な放射線治療で認められる有害事象

疲労感、悪心、嘔吐、食欲不振、放射線皮膚炎、皮膚の乾燥、皮膚の色素沈着・色素脱失、皮膚毛細血管拡張、乳房浮腫・疼痛、肺臓炎、皮膚・皮下の硬結、肋骨骨折、虚血性心疾患、心嚢液貯留、放射線性肺炎、皮膚疼痛、多汗症、乏汗症、クレアチニン増加、腫瘍崩壊症候群、皮膚欠損、吐気、食欲不振、腎炎、腎不全、肝不全、肝機能障害、四肢の浮腫、脱毛

ホウ素薬剤の添付文書に記載されている副作用

  20%以上 5~20%未満 5%未満
血液およびリンパ系障害   リンパ球数減少、フィブリン D ダイマー増加、白血球数増加 鉄欠乏性貧血、リンパ球減少症、血中フィブリノゲン増加
耳および迷路障害   耳痛 回転性めまい、聴力低下
眼障害     眼乾燥、眼痛、眼瞼浮腫、涙器障害
胃腸障害 アミラーゼ増加(85.7%)、悪心(81.0%)、口内炎 腹部不快感、便秘、唾液腺痛 下痢、嚥下痛、顎下腺腫大
(61.9%)、嘔吐(47.6%)
一般・全身障害および投与部位の状態 倦怠感(42.9%)、口渇 発熱 顔面浮腫、顔面痛、腫脹、潰瘍
-42.90%
感染症および寄生虫症 耳下腺炎(66.7%)、結膜炎(33.3%)、唾液腺炎 蜂巣炎、外耳蜂巣炎、外耳炎、中耳炎 膀胱炎、口腔カンジダ症
-33.30%
傷害、中毒および処置合併症     放射線脱毛症
代謝および栄養障害 食欲減退(66.7%)    
筋骨格系および結合組織障害   頚部痛、顎痛、開口障害  
神経系障害 味覚異常(71.4%) 顔面不全麻痺 頭痛、嗅覚錯誤
精神障害     不眠症
腎および尿路障害     排尿困難
呼吸器、胸郭および縦隔障害   咽頭の炎症、鼻出血、口腔咽頭痛 しゃっくり、鼻閉、鼻の炎症
皮膚および皮下組織障害 脱毛症(90.5%) 顔面腫脹 皮膚炎、薬疹、紅斑
内分泌障害 血中プロラクチン異常(28.6%)、血中プロラクチン増加(28.6%)    
その他     照射部位の壊死
ホウ素薬剤の製造販売後副作用調査で報告された副作用

細菌性膿瘍、骨髄炎、誤嚥性肺炎、敗血症ショック、副鼻腔炎、アシネトバクタ— 感染、軟部組織壊死、腫瘍疼痛、腫瘍壊死、感染性新生物、癌疼痛、貧血、白血球数減少、アナフィラキシーショック、過敏症、副腎機能不全、甲状腺機能低下症、脱水、栄養障害、過小食、失見当識、摂食障害、脳血管発作、浮動性めまい、てんかん、神経痛、末梢性感覚ニューロパチー、脳浮腫、脳神経麻痺、味覚障害、視神経乳頭浮腫、視力低下、難聴、耳鳴、高血圧、起立性低血圧、発声障害、胸水、肺蔵炎、喉頭壊死、口腔咽頭痩、歯肉ポリープ、歯肉腫脹、舌炎、口腔上顎洞痩、皮膚剥脱、顎骨壊死、軟部組織壊死、腎機能障害、急性腎障害、治癒不良、粘膜の炎症、疼痛、潰瘍性出血、穿孔、体重減少、白血球数減少、放射線網膜症、放射線骨壊死、放射線壊死、放射線性貧血

医学的見地に基づき BNCT 治療により予測される副作用

放射線性肺炎、皮膚疼痛、多汗症、乏汗症、クレアチニン増加、腫瘍崩壊症候群、皮膚欠損、吐気、食欲不振 、部分脱毛

中性子線発生装置CICS-2 により予測される不具合

・治療照射台の誤操作により天板が予期せぬ動きをし、負傷する恐れがあります。
・照射位置の決定が不適切な場合、誤照射による被曝の恐れがあります。
・ストレッチャ、天板、治療照射台、固定具等及び照射口外装部など患者さんが触れる可能性のあるところは、感染症の恐れがあります。
・固定された天板から治療照射台に移乗するとき、落下あるいは挟み込みにより負傷する恐れがあります。
・照射位置を決める時に、照射口外装部への衝突や挟み込みにより重大な怪我に至る恐れがあります。
・照射中に動いたりすると、適切な照射ができなくなる恐れがあります。
・照射位置の設定中や照射中に具合が悪くなる場合があります。
・心臓ペースメーカ、人工心臓弁又は植込み型除細動器、人工内耳、神経刺激装置、人工呼吸器、注入ポンプなどの医療機器を装着している場合には、それらの機器が故障する恐れがあります。また、放射化による被曝の恐れがあります。
・体内に埋め込んだ金属クリップ、コイル、ステント、ボルトなどを装着した場合には、それらが放射化により被曝する恐れがあります。
・試験機器の消耗品などが適切に交換されてない場合には、不具合の発生により、治療照射が開始できない恐れがあります。
・所定の中性子線が得られない場合や照射中の陽子線異常により、患者さんへ過照射や照射不足が生じる可能性があります。

上記の副作用等は、すべての方に現れるというわけではありません。また、今までに報告されているものが、一度に出現するわけではなく、患者様によって副作用の種類や程度、発現の頻度は異なります。また、これまでに知られていない副作用が起きる可能性もあります。 副作用が出現してこないかどうか、担当医師は患者様の身体に起こることを注意深く診察します。もし、経過観察中にいつもと違った体調の変化がありましたら、すみやかに担当医師に連絡してください。担当医師が迅速かつ適切な対応を行います。また、副作用の程度や検査の結果によっては、担当医師が本治療を中止することもあります。 患者様には以上のような副作用の可能性があることを十分に納得の上で、本治療を行う事を了承して頂き、もし上記のような有害反応が出てきた場合にはその病状に応じて最善と考えられる処置を行います。

※江戸川病院のBNCTの装置・医薬品について
江戸川病院のBNCT治療で使用される医療機器(BNCT装置)・医薬品(ホウ素製剤)は医薬品医療機器等法上、未承認となります。
万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。

  BNCT 装置 ホウ素製剤
江戸川病院で使用している
機器・薬品の承認の有無
なし なし
江戸川病院で使用している
機器・薬品の入手経路
国内の株式会社 CICS 製の
装置を導入
台湾の台湾製薬株式会社製の
製剤を江戸川病院で個人輸入
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/index.html
国内の承認医薬品・装置の
有無
あり
(住友重機械工業株式会社製)
あり
(ステラファーマ株式会社製)
諸外国における
安全性等に係る情報
諸外国でも未承認のため、
重大なリスクが明らかになっていない可能性があります。

お問い合わせ先

江戸川病院 BNCTセンター担当

受付時間 月~金曜日 9:00~17:00

03-3673-1221(代表)

住所:〒133-0052 東京都江戸川区東小岩2丁目24-18

BNCTに関する取材について 患者サポートセンター 広報担当までご連絡下さい