江戸川病院

社会福祉法人 仁生社

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診療科・部門|スポーツ医学科|労作性熱中症

労作性熱中症

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疾患概要

暑熱環境もしくは身体運動による体熱産生の増加によって、高体温を伴う全身の諸症状が引き起こされることが熱中症です(1)。特に労作(スポーツ含む)を伴うものを労作性熱中症といいます。

症状

熱中症では、足がつるといった筋痙攣から重症になるにつれて、めまい、立ちくらみ、混乱や見当識障害(人やモノ、場所がわからなくなる)といった意識障害が出現するようになります。そのままにしていると、脱水、下痢/嘔吐、腎機能障害、肝機能障害、全身性の敗血症、電解質異常、脳虚血/浮腫などが起き、多臓器不全で亡くなることもありえます。

診断

明確な数値基準はなく、症状と発症時の状況から考慮します。熱中症は症状により運動誘発性筋痙攣、熱失神、熱疲労、熱射病に分類されます(表1)。

表1 熱中症分類:パワーズ運動生理学より改変

一方、国内ではよりわかりやすい形での分類としてⅠ度〜Ⅲ度という分類が用いられています(表2)。重要なことは、どちらの分類でも軽症の時点で運動の中断や冷所での休息などの判断を行い、経過を見ることです。

表2 日本救急医学会根中傷分類:熱中症診療ガイドライン2015

* 体温測定方法について

熱射病の基準である体温=40.5度以上は深部体温のことです。通常の体温計は腋窩の体表温を測定しています。スポーツ後は発汗により体表温は正常なものの、深部体温が高いということが起こりうるため、体表温の測定で熱中症かどうか判断するのは注意が必要です。

治療/対応

参考文献2より

- 運動誘発性筋痙攣/熱失神/1度熱中症の場合(意識障害を伴わない)

めまいや立ちくらみ、筋けいれんなどが起こる状態であれば、運動を中断し、クーラーが良く効いている屋内や風の通りが良い木陰などで積極的に飲水(スポーツドリンクなど)をして経過観察します。扇風機やうちわ、氷枕などでアイシングをするのも良いです。経過観察中に増悪することもあるため、ひとりきりにはしないようにしましょう。

- 熱疲労/熱射病/Ⅱ〜Ⅲ度熱中症(意識障害を伴う) 

意識障害を伴う場合は医療機関への受診/救急搬送を考慮します。搬送や救急隊到着までは可能な限り冷却を行います。バスタブや大量の氷が準備でき、溺れないようになど医療スタッフが対応できれば、冷(氷)水浴[アイスバス]が推奨されます(図1)。それ以外では水道水をかけ続ける水道水散布法(図2)や、エアコンの効いた屋内で冷たいタオルを全身に乗せて、扇風機などを当てつつ次々に取り替えるアイスタオル法(図3)などがあります。深部体温(直腸温)が測定できれば、直腸温<39度となるまで冷却するのが目安ですが、準備がなければ「寒い」と言うまで冷却するのが目安です。

図1 冷(氷)水法[アイスバス]

- 最適水温は5−15度

- 大量の氷が必要で、最適水温になるまで時間がかかる

- 頭側の人は溺れないように支える

  -   意識障害中は暴れることもあり注意

図2 水道水散布法

- 流水を全身にかけ続ける

- 口や鼻を水で塞がないように注意

- 寝かせる場所が安全か確認

- 扇風機併用も効果的

図3 アイスタオル法

- アイスタオルは数分おきに交換

- うちわや扇風機の併用も効果的

参考文献

1) 日本救急医学会 熱中症診療ガイドライン2015

2) 日本スポーツ協会 熱中症を防ごう 2022/08/01アクセス

https://www.japan-sports.or.jp/medicine/heatstroke/tabid523.html

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