社会福祉法人 仁生社
江戸川病院
2024.01.08更新
主要な病変のみを治療する方法で、凍結治療、高密度焦点式超音波療法(超音波を用いて病変部分に熱を加える)や部分的放射線治療などがあります。
画像診断(MRI)と組織検査(MRI/超音波フュージョン画像前立腺針生検)による病理診断の精度向上により実現された理想的な治療方法です。
名前の通り、フォーカルセラピーは部分治療ですので、前立腺全体に対する手術/放射線治療に比べて身体的負担・合併症が低い治療法となりますが、前立腺内に大きく広がった癌に対しては施行できません。
当院では2020年8月から、マイクロウェイブを用いたフォーカルセラピーを行っています。
マイクロウェイブは、電波の一種で電子レンジにも用いられています。病変部にマイクロウェイブを照射し、熱(50~80℃)を5分~20分(病変の大きさによって変わります)与え治療する方法です。(図2)
1cm程度の小さな病変から2.5cmくらいまでが対象です。手術時間も1時間程度・入院期間は3~4日・大きな合併症も、性機能の低下もみられません。
また癌が再発した場合にも、再度フォーカルセラピーを行うことも手術や放射線治療を行うこともできます。現代における理想的治療方法として、保険治療を目指して邁進しています。
図2 マイクロウェイブを用いた照射イメージ
マイクロウェイブによる前立腺癌フォーカルセラピーは、厚生労働省より先進医療の認定を受けました。
(先進医療を実施している医療機関の一覧 令和6年12月1日現在 第2項先進医療技術【先進医療A】NO51)
保険診療となる前の有効性の期待ができる新規治療に対してのみ認可されるものであり、京都府立医科大学・浮村 理教授を中心とした全国8施設で共同研究を行っています。
先進医療の適格基準は明確に定められており、慎重に吟味し適否を判断します。先進医療に適合されない時は、従来どおりの自由診療(入院治療費 ¥798,000)で治療を受けることができます。
先進医療については、平成16年12月の厚生労働大臣と内閣府特命担当大臣(規制改革、産業再生機構)、行政改革担当、構造改革特区・地域再生担当との「基本的合意」に基づき、国民の安全性を確保し、患者負担の増大を防止するといった観点も踏まえつつ、国民の選択肢を拡げ、利便性を向上するという観点から、保険診療との併用を認めることとしたものです。
また、先進医療は、健康保険法等の一部を改正する法律(平成18年法律第83号)において、「厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって、保険給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養」として、厚生労働大臣が定める「評価療養」の1つとされています。
具体的には、有効性及び安全性を確保する観点から、医療技術ごとに一定の施設基準を設定し、施設基準に該当する保険医療機関は届出により保険診療との併用ができることとしたものです。なお、将来的な保険導入のための評価を行うものとして、未だ保険診療の対象に至らない先進的な医療技術等と保険診療との併用を認めたものであり、実施している保険医療機関から定期的に報告を求めることとしています。
先進医療とは
令和6年12月1日現在で75種類
「先進医療に係る費用については全額自己負担」
先進医療を受けた時の費用は、次のように取り扱われ、患者は一般の保険診療の場合と比べて、「先進医療に係る費用」を多く負担することとなります。
1.「先進医療に係る費用」は、患者が全額自己負担することになります。「先進医療に係る費用」は、医療の種類や病院によって異なります。
2.「先進医療に係る費用」以外の、通常の治療と共通する部分(診察・検査・投薬・入院料等)の費用は、一般の保険診療と同様に扱われます。つまり、一般保険診療と共通する部分は保険給付されるため、各健康保険制度における一部負担金を支払うこととなります。
例
総医療費が100万円、うち先進医療に係る費用が20万円だったケース
1.先進医療に係る費用20万円は、全額を患者が負担します。
2.通常の治療と共通する部分(診察、検査、投薬、入院料 *)は、保険として給付される部分になります。
保険給付分*=80万円(10割)
7割にあたる56万円が各健康保険制度から給付。
3割にあたる24万円が患者の一部負担金。
※保険給付に係る一部負担については、高額療養費制度が適用されます。
先進医療を受けるときは
先進医療を受ける場合であっても、病院にかかる時の手続きは一般の保険診療の場合と同じで、被保険者証(老人医療対象者は健康手帳も)を窓口に提出します。
先進医療は、一般的な保険診療を受けるなかで、患者が希望し、医師がその必要性と合理性を認めた場合に行われることになります。
説明を受けて納得の上で同意証明書
先進医療を受ける時は、治療内容や必要な費用などについて、医療機関より説明を受けます。説明内容について十分に納得したうえで、同意書に署名し、治療を受けることとなります。
領収書はたいせつに保管
先進医療を受けると、先進医療に係る費用、通常の治療と共通する部分についての一部負担金、食事についての標準負担額などを支払いますが、それぞれの金額を記載した領収書が発行されます。
この領収書は、税金の医療費控除を受ける場合に必要となりますので、大切に保管してください。
・小さな前立腺癌には、フォーカルセラピー(部分治療)が可能です。
・マイクロウェイブ フォーカルセラピーは、有害事象が少ない理想的な治療方法の1つです。
・入院期間は3~4日間で、短期間で通常の生活に戻ることができます。
・マイクロウェイブによる前立腺癌フォーカルセラピーの先進医療は、全国8施設 都内は江戸川病院のみで受けることができます。
・保険診療ではありません。(2025年現在)「自由診療」または適格基準に合致された方には「先進医療」で行っています。(基本的に「先進医療特約」を契約されている方に限ります)
・紹介状・検査データをご持参ください。
・急遽、休診となる場合がございます。お電話で確認の上ご来院ください。
ご予約希望の場合は、地域連携室までご連絡ください。