江戸川病院

社会福祉法人 仁生社

江戸川病院

診療科・部門|血管外科

2024-03-27更新

概要

糖尿病足、維持透析、膠原組織、バージャー病などによる足壊疽で多数の患者さんが膝下、膝上、あるいは股関節で下肢を切断されています。最近は糖尿病の世界的な増加により30秒に一本の足が切断されていると言われています。

しかし実際には、医師の知識不足、治療経験不足、不適切な治療などにより無用な切断が実施されている現状が有り、本当に切断が不可壁で必要であった患者さんはそれほど多くはありません。膠原病は原疾患の治療が安定していれば難治性潰瘍や足部壊疽はバイパスや筋皮弁移植により救済できます。

バージャー病は喫煙が病状の悪化と密接に関係しますので足を切断から救うには、禁煙すると言うあなたの重大な努力も必要です。

概要

胸郭出口症候群(TOS)は神経性(nTOS), 動脈性(aTOS),および静脈性(vTOS)の3つに分類されます。

神経と血管の圧迫部位は、前2者が第一肋骨を底辺とする前斜角筋と中斜角筋で形成される3角形の隙間(胸郭出口)を通過するところで圧迫されるのに対し、vTOSは鎖骨と第一肋骨の間で圧迫され、静脈が閉塞する病態です。

これらの内、最も多いのはnTOSで90%以上を占め、 C5-8およびT1の神経束が圧迫され肩、背中、上肢のしびれや痛みを発生します。nTOSの治療では、仕事や日常生活に高度の支障がある患者さんに手術が必要ですが、日本では外科医により手術方法が大きく異なる問題があります。

手術法として国際的には第一肋骨(亜)全摘、前斜角筋および中斜角筋切離、さらに必要により小胸筋腱切離が標準的術式ですが、第一肋骨部分切除や前斜角筋のみの切離など簡略的手術も行われており、長期的な治療効果や再発などの点で問題が少なくありません。

治療を受けられる際には上記の諸点を念頭に置いて医師の説明を聞く必要があります。

概要

バージャー病(Buerger氏病、ビュルガー氏病、ビュルゲル氏病などと呼ばれる)は、血管の炎症(血管炎)により主に手、腕、足、下肢の動脈をつまらせて、虚血(血行障害)を起こす病気で、30〜40才代のアジア人(日本、韓国、中国、東南アジア、インド、トルコ、アラビア、東欧など)の主に男性に好発します。女性の発生は5%です。 たばこは、発病や病状の悪化と極めて密接に関係しています。喫煙歴のない人も発病しますが、その多くは受動喫煙(喫煙者のはく煙を吸う)が原因と考えられています。

バージャー病と診断され、禁煙すると、病状は急速に回復に向かいます。従ってバージャー病では、治療を開始する前にまず禁煙することが必須です。禁煙しても血管閉塞はそのまま残ります。禁煙を維持できれば新しい血管が形成され(側副血行路)虚血症状は改善しますが、それでもなお虚血症状があり、薬でよくならず完全に回復を望まれる場合には、血管移植手術が必要です。

手術後は血行障害が完全に改善し、快適になりますが、問題は良くなると喫煙を再開する患者さんが50%にも及びます。 喫煙はあらゆる治療が無効にしますので、禁煙ができない患者さんはすべての治療の対象となりません。このような患者さんは、最終的に下肢の膝上切断や手指の切断となり、また少数例では、脳動脈閉塞や心筋梗塞で死亡する場合もあります。

本邦では厚生省の難病の指定を受けていますので、バージャー病と診断され、難病認定を受けるとバージャー病に関する限り医療費は各都道府県で負担されます。

概要

診断のポイント

1.突発的発症または急激な下肢虚血の悪化で、塞栓症と血栓症とに大別される。

2.心房細動はないか?;塞栓症の塞栓源は心房細動75%。虚血症状のない例の突発的発症は塞栓症。以前から虚血症状を有する例は血栓症で、慢性動脈閉塞症(閉塞性動脈硬化症、バージャー氏病)が存在する。

3.症状;”Five P”による重症度診断と皮膚温移行帯による閉塞部位診断