肩関節インピンジメント症候群
肩関節インピンジメント症候群とはどんな病気ですか?
- 投球障害肩の一種です。
- インピンジメントというのは、『衝突』という意味です。肩関節を動かす際に、関節付近で他の骨や筋肉との衝突が生じることによって、組織の損傷が起こって痛みが生じる病気です。
- 基本的には、野球選手の投球障害肩の一種ですが、オーバーヘッドスポーツといわれる、バレーボールやテニスなどで肩の痛みを生じる場合や、中高年の方の痛みが出る場合でも肩関節インピンジメント症候群となることがあります。
- 肩関節の上の方で骨と骨がぶつかったり、肩関節の中で筋肉などが挟まったりすることで生じることがあります。
投球動作を繰り返すことによって肩の痛みなどから投球困難を生じる肩関節のスポーツ障害です。
成長期の選手は、骨が伸びていく軟骨部位(骨端線)にストレスがかかることで怪我に繋がり、成長期を過ぎた選手は靱帯や筋肉の怪我に繋がります。近年では、壮年期での発症も多くみられます。
どんな症状が出ますか?
- 腕を上げるとき、途中が痛くて、上げきってしまえば痛くないというのが一番の特徴的な症状です。
- 症状がひどくなると、夜にずきずきとした痛み(夜間痛)が起きたり、ひどくなると腱板断裂といい、筋肉が断裂(損傷)してしまったりすることがあります。
どんな治療をしますか?回復にどれくらいかかりますか?
- 痛みがある部位にエコーを見ながら痛み止めの注射をしたりします。
- その後、基本的にはリハビリテーションで治療します。
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3か月リハビリテーションで改善しない場合は追加評価で、MRIなどを撮ります。
原因が肩関節の組織にあり、改善が乏しい場合は手術も検討します。 - 痛みがなくなり次第、投球再開や、痛みが生じていた動作を再開します。
当科では
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月に1回程度、診察の際に医師が肩の可動域や痛み(主に夜間痛)のチェックとエコーでの観察を行います。
肩の動きの硬さがある部位を診断し、エコーで肩を観察しながら可動域が改善するような注射を安全に行います(ハイドロリリース)。 - インピンジメントによる腱板断裂等があり、上記の保存療法に抵抗性の時は、関節鏡視下に修復術を行います。
<理学療法>
- 肩関節の動きを改善。
- 肩関節筋力を改善
- 肩甲骨や胸郭、股関節などの動きの改善。
- 肩甲骨や胸郭、股関節などの筋力の改善。
- 投球フォーム指導
- 医師指導の下、エコーにて肩関節内の動きのチェック、トレーニング。
- 全身のトレーニング
<詳細には>
- 肩甲骨を上から抑えた状態で腕を上げようとしたときに、肩の上の方に痛みを感じる人は、肩甲骨の上方への動きを良くするようにします(肩峰下インピンジメント)。
- 腕を外に開くような動作(肩関節外転外旋位)で肩の後ろの方が痛い人は、肩甲骨の開く動きを良くしたり、肩関節の後ろの硬さを良くしたりします。(後上方関節窩インピンジメント)
- 腕を上に閉じるような動作(肩関節屈曲内旋位)で肩の前の方が痛い人は、肩甲骨の閉じる動きを良くしたり、肩関節の後ろの硬さを良くしたりします。(前上方関節窩インピンジメント)
<参考文献>
- 大西和友:解剖学的異常を認めない肩峰下インピンジメントの診断と治療. 臨床スポーツ医学. vol. 36. No2. 144-150. 2019.
- Beard DJ. et al : Arthorascopic subacromial decompression for subacromial shoulder pain (CSAW): a multicenter, pragmatic, parallel group, placebo-controlled, three-group, randomizeed surgical trial. Lancet27: 329-338. 2018.
- 西中直也ほか:ゼロポジション内外旋運動における上腕骨頭偏位の検討.肩関節. 33:261-263, 2009.
- Halbrecht JL. et al : Internal impingement of the shoulder: comparison of findings between the throwing and nonthrowing shoulders of college baseball players. Arthroscopy 15: 253-258, 1999.
- Habermeyer P, et al : Anterosuperior impingement of the shoulder as a reesult of pulley lesions: a prospective arthroscopic study. J Shoulder Elbow Surg 13: 5-12, 2004.