膝蓋骨脱臼
概要
また、脱臼はないが、膝蓋骨の異常可動性があり不安定性と疼痛を訴える例もある。これらはすべて含めて膝蓋骨不安定症ともよばれ、10歳代台の男女に頻度が高い
分類
外傷性脱臼
外傷による脱臼を指し、下腿外旋を強制した状態で膝を屈曲した場合に起こる。内側広筋と内側支帯の一部が断裂し、激痛の関節血症を生じる。また、膝蓋骨または、大腿骨外側顆の骨軟骨骨折を伴うことがある。膝蓋骨内側縁に主張と圧痛を認める。
反復性脱臼
脱臼が再発し、その後脱臼を繰り返すもの。下腿を外旋した状態で膝を屈曲させようとすると脱臼の不安感を訴える。
習慣性脱臼
外傷の既往なく膝の一定肢位(通常屈曲位)をとると常に脱臼するもの。外反膝と脛骨粗面の外方偏位のためQ角が大きい例が多い。
恒久性脱臼
膝の屈曲に関係なく常に脱臼しているもの。先天性と後天性のものがある。大腿四頭筋が正常に作用できないため膝の自動伸展が完全に行えない。
診断
X線検査による膝蓋骨位置の異常や大腿骨の形態異常。圧痛や腫脹、膝関節の伸展不全や整形外科的テスト(apprehension test)陽性がみられる
治療
外傷性脱臼では骨折が無ければ、血腫の管理を行いながら外固定などで数週間の局所の安静をとる。その後、脱臼の再発を防止するために運動時にはテーピングや膝蓋骨用サポーターを用いる。
脱臼が頻回に起こる例や、習慣性や恒久性脱臼の例には手術療法が必要となる。症例に応じて外側支帯離開術、MPFL縫縮・再建、脛骨粗面移行術などが行われる。
リハビリテーション
動作時の外反膝に対する動作指導、大腿四頭筋の筋力強化などを行う。
膝蓋骨のアライメント評価や、膝外側組織の柔軟性低下やエコーによる動態観察を行い、局所的に膝外側組織の柔軟性改善や外側広筋付着部・外側膝蓋支帯縦走線維と皮下組織の滑走性などのアプローチが挙げられている。
参考文献
- 標準整形外科学 第12版,医学書院,2014.2
- 鈴木秀基ら:外側広筋付着部、外側膝蓋支帯周囲組織の滑走性低下により疼痛を呈した膝蓋骨亜脱臼 の1症例.第53回日本理学療法学術大会 抄録集
- 岡本瑞季ら:恒久性膝蓋骨脱臼例に対する動的アライメントの修正に着目した理学療法介入の経験. 第54回日本理学療法学術大会 抄録集