野球肘:離断性骨軟骨炎(上腕骨小頭OCD)
概要
離断性骨軟骨炎(以下OCD)は成長期の肘におきる障害です。成長期の未熟な骨と軟骨が剥がれてしまう障害で、スポーツ動作などが原因となります。
10歳頃の野球選手では2-4%くらいみられるとされています。肘の外側(上腕骨小頭)に多いことから、別名”外側野球肘”と言われます。野球だけでなくラケットスポーツや器械体操など、肘に負担のかかる競技にも見られます。
症状
初期に痛みやなどの症状がでないことが問題です。症状を自覚した時には、骨と軟骨が剥がれ手術が必要となることもあります。このような特徴から、沈黙の障害と呼ばれることもあります。
診断
早期発見が重要です。初期で発見できれば90%が保存療法で治癒します、進行すると手術が必要となります。
身体所見
初期の段階では所見がなく、進行すると関節の圧痛や可動域の制限がみられます。
単純X線
骨が透けたり骨のラインが連続していない状態が確認できます。X線で病気の段階を3つに分類します。(透亮期・分離期・遊離期)
X線分類
超音波診断(エコー)
初期に発見するために有用な検査です。単純X線でわからないようなものまで診断可能です。侵襲がなく持ち運び可能であるためスポーツ検診で使用されます。
*毎年江戸川区・葛飾区での野球肘検診を行なっています。
正常では骨のラインが綺麗に見えるが、OCDになると乱れているのがわかる
学童期の野球選手に対して行っている野球肘検診
単純CT
単純X線よりも詳細に骨の状態が評価できます。剥がれた大きさを把握して、剥がれた骨軟骨片の大きさや位置が確認できます。
MRI
初期の僅かな変化も診断できます。現在はエコーで代用できるため、進行した際に手術が必要かを判断するために利用します。
MRIでは骨の内部が詳細に確認できる
治療
保存療法
初期や、進行期の早い時期であれば保存療法が行えます。自己修復を期待して、肘に負担をかけないようにします。投球を禁止するだけでなく、打撃や腕立て伏せなど肘に負担のかかる動作も禁止します。近年、キャスト(ギブス)を巻くことで治療が早まるいう報告があり、当院でも1ヶ月間のギブス固定を勧めています。
定期的に画像を確認しながら復帰の時期を判断します。完全な修復には1年近く要することが多いため、本人の努力に加えて周囲のサポートも必要です。病変が小さくなれば(目安1cm)、手術になったとしても関節鏡でとるだけで済むことから、相談のうえ早期復帰を検討しています。
1年をかけて保存的に治癒したOCD
手術療法
手術方法は病期や大きさによって変わってきます。また施設でも異なります。
定期的に画像を確認しながら復帰の時期を判断します。完全な修復には1年近く要することが多いため、本人の努力に加えて周囲のサポートも必要です。病変が小さくなれば(目安1cm)、手術になったとしても関節鏡でとるだけで済むことから、相談のうえ早期復帰を検討しています。
①鏡視下郭清術(悪い部分を取り除く手術)
1cm以下の小さいものが適応です。関節鏡で切除するだけで良いため侵襲が少なくてすみます。
関節鏡の画像
②関節形成術(悪い部分を取り除き関節面を作る手術)
1cm以上の大きなものが適応になります。
a:骨片固定術
剥がれた骨軟骨の状態がよい場合には、自分の骨を釘のように成形して固定します。
b:自家骨軟骨柱移植
膝の骨と軟骨を移植する手術です
リハビリテーション
障害のある骨・軟骨にストレスをかけないことが重要になります。そのため投球などの競技動作は禁止します。安静にするだけではなく、復帰後にも肘に負担をかけないよう、全身の機能を高めるためのリハビリテーションを行います。