疾患 失語症/高次脳機能障害

疾患の情報及び訓練

1.失語症

失語症とは、脳血管障害・脳挫傷・変性疾患などによって、大脳の中の言語中枢が障害された状態です。失語症になると、相手の言葉が理解できない、言葉が思い出せない、自分の意図と異なる言葉が出てしまう、文字が読めない、文字が書けない、などの症状が現れます。

・失語症の回復
失語症の回復は、原因となる疾患の特徴、病巣の位置や大きさ、発病年齢、発病前の生活習慣や健康状態などによって様々であるため、一概には言えませんが、一般に40歳代ぐらいまでに発病した方の場合、適切な訓練プログラムによる言語訓練を最低3年以上継続することによって相当な回復が見込めることが分かってきています。

・失語症の言語訓練
はじめに、検査によって失語症の重症度とタイプを明らかにします。その上で、その方の重症度とタイプに合った訓練を、種々の訓練用教材を用いて行います。症状の回復と変化に合わせて、訓練用教材は随時変更し、最大限の機能回復を図ります。

当言語室では言語訓練教材シリーズを㈱新興医学出版社より出版し、全国の言語訓練施設や、多くの失語症の方々より好評を頂いております。

訓練スタッフ(ST)と1対1で行う個別訓練と並行して、その方の失語症の特徴や趣味を考慮した上で、失語症友の会など病院外での活動も支援しております。 また職業復帰の際には必要に応じて職場環境調整なども実施いたします。

このように言語訓練を含めた様々な活動を通して、機能回復はもちろんのこと、広い意味での社会への復帰を支援しております。

2.失認・失行

失認は脳血管障害、脳挫傷、変性疾患などによって、大脳の中で視覚や聴覚などの感覚器からの情報を処理する部位を障害された状態、失行は運動麻痺はないのに習熟した運動が障害される状態です。

たとえば、視力の問題はなく見えているのに、物の形、色、人の顔、道順などがうまく認識できなくなってしまうといった視覚失認や、視野に問題はほとんどないにもかかわらず、左側のものを見落としたり、身体の左側をぶつけたりする左半側空間無視、手足は動かすことは出来るのに、動作がぎこちなくなったり、道具が上手く使えなくなるなどの失行など、様々なものがあります。

・失認・失行の回復・訓練
失認・失行の訓練では、綿密な訓練計画に基づき機能回復をめざします。そしてその機能を最大限に用いることと並行して、他の感覚を利用しながら物を認識する練習も行います。たとえば視覚失認ならば、視覚の機能を回復しつつ、触覚や聴覚を利用するといった方法です。

また現状の能力に合わせて環境を調整することも大切で、最大限自立した生活が可能な状況を整えることが必要となります。

3.記憶障害

記憶には過去・未来・意味・手続きについてなど様々な種類があり、これらが障害された状態です。具体的には直前に見たり聞いたりしたことを忘れてしまったり、昔の出来事を思い出せないなどの症状です。

・記憶障害の回復・訓練
記憶障害の正確な評価をした上で、記憶機能そのものの改善を目指すことと並行して、必要に応じて代替手段の確立・職場や家庭環境の調整を実施します。訓練の使用教材は症状によって異なりますが、主に患者様のニーズにあったものを使用し、生活全般が円滑に行えるよう支援していきます。

4.認知症

認知症は一般的には記憶障害を中核として、知的機能や認知機能の低下、行動障害や精神症状を認めることもあります。結果として社会生活や日常生活を送る上での困難を生じてきます。当院では医師の指示の下、主に認知症の評価と家族指導・環境調整を実施します。家族指導では、症状の説明・接し方・社会資源に関する情報提供を実施し、介護者の負担軽減を図ることも重要視しています。