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内科(糖尿病・代謝・腎臓内科及び神経内科)


 
   

神経内科について


   (文責:新海泰久)
 神経内科は脳,背髄,末梢神経,筋肉の疾患を専門としています。その疾患はおもだったものとして,脳血管障害(脳梗塞),神経感染症(髄膜炎、脳炎),神経変性疾患(パーキンソン病,アルツハイマー病,脊髄小脳変性症,筋萎縮性側索硬化症など),神経免疫疾患(視神経脊髄炎を含む多発性硬化症,重症筋無力症,多発性筋炎,ギラン・バレー症候群,慢性炎症性脱髄性多発神経炎,多巣性運動ニューロパチーなど)があげられます。

 脳梗塞では,超急性期の加療が近年変わってきました。血栓溶解療法が行われるようになり,最初は、発症時間から3時間以内の施行とされていましたが,のちに、4時間半以内に行うことと改められました。しかし、脳梗塞は,発症時に疼痛を伴わないので、1日あるいは数日間,様子をみてから受診することが珍しくありません。欧米では“Time is brain“というキャンペーンが行われて,それでも時間的制約のため,超急性期に血栓溶解療法を行うことは難しいようです。日本でも脳梗塞の早期受診を促すキャンペーンや救急隊の努力も行われていますが,早期に受診する人はなかなか増えていません。

 当院でも,超急性期の血栓溶解療法を行っていますが,来院時の時間や禁忌などの制限があるため,施行できないことが少なくありません。その時間の制限や禁忌を無視すると,出血合併症などの不都合が出現する可能性が高くなります。

 脳梗塞の再発予防では病型によって用いる薬剤が異なります。脳梗塞の病型にはアテローム血栓性,ラクナ梗塞と心原性があります。

 近年,心原性では用いる抗凝固薬の選択肢が増えてきました。心原性の再発予防に用いる薬剤は抗凝固薬ですが,数年前までは、ワルファリンのみしかありませんでした。ワルファリンは食事内容の制限があり,併用薬の注意も必要でした。そのような注意や制限が少ない新規抗凝固薬がここ1,2年で増えてきました。また。それだけではなく,新規抗凝固薬では,一定の条件の人で再発率がワルファリンより低くなると言われています。また,一般に抗凝固薬は出血合併症がありますが,新規抗凝固薬では重篤な後遺症を残す頭蓋内出血の発症率が少ないと言われています。残念ながら,この新規抗凝固薬はある程度以上の腎機能障害があると使えず,あるいは,対象疾患の制限があります。

 アテローム血栓性、ラクナ梗塞には抗血小板薬が用いられます。抗凝固薬と同じく出血合併症の可能性が無ではありません。メリットとデメリットを比較して,治療を考えていきます。さらに,高血圧,糖尿病,脂質異常により,再発率が高くなりますので,こうした危険因子となりうる疾患の加療は重要となります。

 パーキンソン病の治療薬も,近年新しい薬が増えています。副作用を考慮して,作用機序が異なる薬剤を組み合わせて加療を行います。昔は,パーキンソン病を発病すると,数年で寝たきり状態となっていました。現在,未だに治癒することはできませんが,開発されてきた薬を用いることで,身体機能を維持できる期間が長くなっています。最近では,診断後10年の患者さんの大部分が,身の回りのことをできる状態であると言われています。

 アルツハイマー病の治療薬は,かつては,ドネペジルのみでしたが,近年は,新しい治療薬が増えてきました。ただ,効果は限定的なことが多く,さらに根本的な進行を止めることが困難です。この疾患の治療は,まだまだ今後の課題となると考えられます。

 神経免疫疾患とされる一群の疾患があります。症状の出る場所は,脳,脊髄,末梢神経,神経筋接合部,筋肉とすべてに及びます。疾患により,治療効果の違いがあるため,ステロイドホルモン剤,免疫グロブリン大量療法,血漿交換療法,免疫抑制剤による治療を,単独であるいは必要により組み合わせて行います。疾患の診断,評価,治療法の選定は,専門外では困難と思います。

 当院では,さらに,睡眠時無呼吸症候群の診断,加療を行っています。簡易睡眠検査で診断がつくほど比較的重症な状態から,入院精査しないと診断がつかない程度の相対的に軽症の状態まで程度はまちまちです。持続陽圧呼吸療法と呼ばれる治療を行うことで,症状が改善されます。さらに,治療の初期に1回入院しての治療条件,およびその効果を評価することが必要となります。

 当院は,日本神経学会准教育施設となっています。若き医師の皆さんの当院での研修を歓迎いたします。後々,神経内科を専門と考えているのであれば,神経内科疾患を診ることを少し意識しながら初期研修をおこなう場として,あるいは初期研修を終えた後の,いわゆる後期研修の場としては,急性期一般病院としての症例数は十分あると思います。